グローバルで戦うための会計戦略

一つの収益認識で連結経営を強化する
【第1部】収益認識の新基準導入で企業はどう変わるのか

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 そうした変化が起きる企業は一部の業種、業態に限定されるわけではないのですか。

 影響が及ぶ業種は多岐にわたりますが、特に、一つのオーダーの中にいろいろ実行すべき顧客との約束(履行義務)が含まれている場合は、新基準適用の影響を受けることになります。たとえばIT系企業を例に取れば、ハードウェアだけを売っている企業は稀で、たいていはソフトウェアも売っており、さらにネットワークの構築など、さまざまな業務が付随しているのが一般的です。

 また、製造業に分類される企業であっても、単に製品だけを売るのではなく、メンテナンスやいくつもの製品を組み合わせた、いわゆるソリューションを売るケースが多いと思われます。なかには、設備だけでなく、付随する土木工事から、設備稼働後10年間のメンテナンスまでが含まれるケースもあります。一つの契約の中に、いろいろな顧客との約束事が入っていて、その約束を果たすタイミングも違うことがあるわけです。

 加えて、携帯電話の通信会社と販売店の契約に見られるような、ボリュームリベートやインセンティブを販売実績に応じて支払う契約方式も広く浸透しています。さらには、買い物額に応じてポイントを付与するポイントカードなどを発行している流通企業も、影響は避けられません。

 新基準では5つのステップで収益を認識します。これについては第2部で詳しく説明しますが、5つあるステップそれぞれで、影響を受ける可能性の高い業種があります(図表「新基準における収益認識モデルと影響を受ける可能性の高い業種一覧」〈あずさ監査法人作成〉を参照)。

 多かれ少なかれ、新基準導入による影響は避けられないということですね。

 念を押しておきたいのは、会計上は一見、「減収」になることはあっても、それは計上の単位やタイミングなどによるものであって、企業に入ってくるキャッシュは同じであり、トータルの売上は変わらなかったり、売上が減少しても利益の絶対額が減るものではないということです。

 ただし、売上高は多くの企業で財務指標であると同時に業績管理や評価のための指標になっています。KPI(重要業績評価指標)などにしている場合は調整が必要です。

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