第3の創業でグローバルナンバーワンへ

継承と変革の経営<1>

  • 文字サイズを変更する
  • 印刷する

 実際の起業ではそう何度も失敗できるものではありませんが、リクルートの中であれば毎月、通常業務をしながら起業に挑戦する機会があるわけですね。

 そうですね。こうした起業家精神を持つ人材に対してのエコシステムは、当社の大きな強みだと思います。ご質問の趣旨からは外れますが、このような仕組みが確立できているのは、逆説的に言えば、日本では起業家になることはまだまだリスクが大きく、起業家を生み出すエコシステムがまだしっかりと整備されていないということでもあります。

 すでにエコシステムがあるアメリカでは何度も起業に失敗してもそれを奨励し受け入れる文化があり、優秀な人が起業し失敗しても途方に暮れるリスクも低い。だから当社が日本以外、とりわけアメリカで同じ仕組みやシステムでできるかというと難しいでしょう。おそらく多くの起業家精神を持つ人材は、就職するという選択肢自体を選ばないでしょうから(笑)。

 ただし、このエコシステムは、今後、日本の中でもつくられていくでしょうし、そうなっていかないとまずいとも思います。

 起業家精神を育むうえで「失敗」は避けて通れないリスクです。実際、リクルートの歴史を振り返ると、多くの挑戦がある一方で、撤退も少なくありません(図表「リクルート主要事業の歴史」を参照)。峰岸さんは、失敗というものをどうとらえ、どうマネジメントしているのですか。

企業の役割はイノベーション創出です。経営としては持続性に関わる最低限のリスクを設定し、そのリスクを超えなければ何でも挑戦すればよいと思います。

 失敗に関しては、事業と人材を分けて考えます。事業の観点としては失敗から何を学んだかを徹底して総括すること。人材の観点としては、その挑戦をきちんと評価し次の機会もしっかり提供し再挑戦してもらいたい。そうした経営の意思を人事で示すことが重要だと思います。

 企業全体としては、失敗を恐れない、挑戦こそ価値があり奨励されているという雰囲気づくり、を最も重視しています。そうした雰囲気は一朝一夕にでき上がるものではありません。これまでチャレンジを認めてこなかった企業が、いきなり「失敗してもいいからチャレンジしよう」と言ったところで、社員たちは疑い、積極的にチャレンジなんてしないでしょう。

 繰り返しになりますが、結果にかかわらずチャレンジしたことをきちんと評価するということ、そしてそれを長年ぶれずに続けていくこと、こうした地道な取り組みこそが起業家精神を育むエコシステム構築のためには必要なのだと思います。

 そういえば、リクルートではかつて赤字事業を止める時に「撤退パーティ」を行っていたという話を聞いたことがあります。

 失敗の原因は事業モデルの設定などさまざまな原因があるでしょう。いずれにせよ、挑戦に失敗はつきものですし、そのリスクを恐れず挑戦した社員たちを責めようなどという気はまったくありません。

*つづき(第2回)はこちらです

 


●聞き手|松本裕樹(ダイヤモンドクォータリー編集部)
●構成・まとめ|松本裕樹 ●撮影|中川道夫


新着記事

一つの収益認識で連結経営を強化する【第2部】新基準の導入メリットを最大化する
一覧