第3の創業でグローバルナンバーワンへ

継承と変革の経営<1>

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 どういうことですか。

 時代とともに社会システムが変化していく中で、「社会のこういう問題を解決したい」とか「こういうアイデアを事業化したい」とか、さまざまな思いや新たなスキルを持った人が生まれてきます。こうした新しい考え方や価値観、スキルを持った人たちに合わせて組織を縦横無尽に変えていきたいんです。個人を組織に従属させるのではなく、組織を個人に従属させるのです。

 人を育てる仕組みやシステムも「どういう仕組みや制度を導入すれば起業家精神が育つか」という発想ではなく、「起業家精神を持つ社員にとって最適な仕組みや制度はどうあるべきか」という視点で常に変化、進化していくことが重要だと思っています。

 そうやってでき上がったものの一つとして、社員が新規事業プランを提案して事業化を競い合う「New RING」という制度があるわけですね。

 はい。新規事業プランコンテストはすでに30年以上の歴史があります。「New RING」では過去においては『ゼクシィ』『HOT PEPPER』『受験サプリ』(現在はスタディサプリに改称)などの多くの新規事業を生み出してきました。分社化以降はホールディングスと各事業会社のそれぞれで合計10以上の新規事業プランコンテストを行っており、「New RING」はそれらの総称です。

 こうした過去から受け継がれる事業開発プランコンテストの最大の特徴は、「コンテストのトップ案件は必ず事業化する」と「提案した本人が事業を行う」ことを経営がコミットしていることです。この考え方はホールディングス主催の「Recruit Ventures」に引き継がれています。仕組みやシステムは毎年ブラッシュアップされていますが、事業化することに経営がコミットしているからこそ、提案する側も本気で臨むのです。

 グループ全体での年間エントリー数は約1000件に上っていますね。社員にエントリーを促すために、どのようなことを行っているのですか。

 ホールディングス主催の「Recruit Ventures」では、「オープンイノベーション」と新規事業開発の機運を高める「New Ring SUMMIT」という取り組みを行っています。

 オープンイノベーションに関しては、民間企業や行政と共催します。ある企業との共催案件では、両社社員による混成チームがグランプリを獲得し、ジョイントベンチャーの設立準備に入っているものもあります。また、ある県からは県知事に登場していただき行政のさまざまなアジェンダをいただいたところ、多くのチームから新規事業の提案が出されました。

 一方、「New Ring SUMMIT」というイベントでは、グループ内の各社が行っている「New RING」の受賞案件を大々的にプレゼンテーションし、それを社外からお招きした著名なゲストや起業家に講評してもらいます。このイベントを通じ、審査基準や講評ポイントを公開することで、求められるレベル感が浸透し質の向上につながるだけでなく、新規事業をつくってあの場に立ちたいという動機形成にもなります。

 その他、「Recruit Ventures」事務局ではプロジェクトを育てるためのナレッジや人的資源の提供など「事業開発に必要となるあらゆる面でのサポート」をしています。

 もともと当社には「これをやりたい」「ここを変えたい」といった「Will」を持っている人が多くいます。しかし、それだけでは新規事業の提案まで至らないこともあります。そこで、「自分もやりたい」「こうすればできるかもしれない」と、気持ちに火をつけるよう、さまざまな刺激や事業開発のコツを伝える場を設けているのです。

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