【富士フイルムホールディングス】

奇跡の改革を成し遂げた果断の経営

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 しかし、技術的な案件となると、判断は難しいのではないですか。

 私は技術系ではないので専門的な技術に詳しいわけではありません。だから、判断の際には技術系の役員や担当役員に話を聞くし、数字も確認します。彼らの話を聞けば、どういう判断をすべきか、わかります。逆に、わからなければ経営者としては失格です。

 どうしてわかるのですか。

 話の内容が道理にかなっているかどうかで判断するからです。自然科学であれ社会科学であれ、物事にはすべて原理や法則があります。そして、原因があるから結果が生まれるという因果律があります。このことを念頭に話を聞けば、新しい技術の話であっても、物事の本質をつかむことができます。社員の中には、達成ができないような提案を持ってくる社員もいますから。

 そういう人に限って話が長いとか。

 その通りです。自信がある人は1、2枚の資料で説明しますが、自信のない人ほどいろいろなデータを盛り込んで分厚い資料をつくってきます(笑)。

 デジタル化への急激なシフトのみならず、いまは一晩にして技術の優位性がひっくり返るような激動の時代だと思います。こういう不確実性の高い時代にあって、経営者に求められる資質とはどういうものなのでしょうか。

 お話しした「読む」「構想する」「伝える」「実行する」のほか、5つ目に加えたいのが「成功させる」です。経営者は評論家ではありません。実行する以上、成功させなければ経営者は失格です。絶対に成功させるという強い思いがなければなりません。

 経営者のリーダーシップとは、つまるところ「絶対に成功させる」という覚悟ができるか否かということになるのでしょうか。

 そうですね。それは決断する力といってもいいでしょう。決断したら成功までやり抜く、そのためには勇気と気迫が必要です。

 しかし、勇気や気迫というものは、経営者になったから身につくというものではありません。私自身について言えば、満州で迎えた終戦時の惨めさが原体験にあるのだと思います。会長室には「力」と書かれた額を掲げています。世の中はすべて戦いです。人であれ会社であれ、結局、世の中を動かすのは力なのです。だから、経営者は、すべての戦いに勝てる真の実力を養わなければなりません。

優れたリーダーによる
トップダウン型組織であるべき

 80年以上の歴史がある御社で、歴代社長の数は合計8人。一人当たりの在任期間が……。

 長いですね。

 組織のあり方として、御社のようなトップダウン型がよいのか、それとも集団指導体制がよいのか。このあたりはどう考えますか。

 リーダーシップの本質は、「最も優れた人間が最も優れた決定をする」ということです。会社に当てはめれば、「優れた独裁者が率いる組織が最良の組織」ということになります。

 経営の最終責任はトップにあります。集団指導体制では物事を決めようとしても角が取れた平凡でつまらないものしか出てきません。誤解を恐れずに言えば、経営者は優れた独裁者であるべきです。ただし、優れたリーダーであることが条件です。

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