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【CASE2:ウェザーニューズ】
独自の気象ビッグデータをAIで解析
精度の高い天気予報を74億人に発信

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 ウェザーニューズではリポーターから送られてくる情報を「感測」データと呼び、肌で感じた生の声や画像を、気象衛星やレーダーなど計器による「観測」データとともに重視している。雨であれば「ポツポツ」とか「ザーザー」といった音で報告できるようにし、言葉による情報を雨量に変換する方程式も編み出した。誰もが参加でき、データ数の増加とともに精度を上げてきた。

 スマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」のダウンロード数は1400万件で、天気予報に参加するウェザーリポーターは950万人に達する。無料で受けられる情報の他に有料会員向けサービスがあり、有料会員数は258万人に上る。

 サービスの提供は日本だけに留まらず、アメリカ、ヨーロッパ、中国などで利用者、情報提供者が拡大している。2015年5月にアメリカの気象情報会社、ウェザーモブのアプリ事業を買収。世界140カ国の会員から気象データを収集する天気アプリ大手だ。同年7月には中国最大のソーシャル天気会社で、月間利用者約8000万人のアプリを運営する墨迹風雲(モジフェンユン)とも提携した。

航海気象分野の強み活かし
海上の詳細な気象も把握

 ウェザーニューズは1日に約3テラバイト(1テラバイトは1兆バイト)のデータを収集しており、ビッグデータを有効活用するため、高度な処理技術への投資も続けてきた。

 画像データ、計測値、文字情報など、多種多様で膨大なデータを高速かつ自在に整理・解析するのに適しているのが「NoSQLデータベース」だ。ウェザーニューズは2015年末からNoSQLを新たに採用し、増え続けるデータの分散処理を進めている。モバイル端末や個人向け気象観測器などをインターネットでつなぎ、データの収集・解析・発信をスムーズに行うなど、IoT時代への布石も打っている。

AIを活用したバーチャルお天気キャスター、Airi(アイリ)が対話形式で天気情報を発信するなど、気象サービスに関する技術革新にも注力する。

 究極の気象予報は、ある地点の、知りたい時間(明後日の午後6時とか)の天気をより正確に、より早く知らせてくれることだ。エリアを細かいメッシュ(格子)状に区切り、観測の頻度と精度を上げ、「はずれない天気予報」を目指している。

 ウェザーニューズの優位性は航海、航空気象に強いという点で、世界の外航商船約2万隻のうち、約6000隻の運航をサポートしている。

 海事気象事業本部の福井達博運営統括部長は「安全で燃料節約や定時運航が実現できる航海ルートや、適正なスピードの情報を一隻一隻の船に提供しています。近年では船舶から自動的に海水温や気圧、風の向きや強さなどの観測データが1時間に1回届けられ、海上気象データが飛躍的に増加しました。今後はAIなどを活用して、使える情報に変えていくつもりです」と強調する。

北極海航路の海氷などを観測する2基目の気象観測衛星を2017年1月頃に打ち上げる予定だ。

 海上に気象観測基地を6000カ所抱えているようなもので、しかも移動しているので、観測スポットが多くなる。人海戦術、観測機器、船舶や航空機などからの気象ビッグデータを武器に、ウェザーニューズは精度をさらに高める「予報革命」を起こそうとしている。

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