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【CASE5:竹中工務店】
「AIを活用したスマートビル」と描く
都市のイノベーション

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実験開始から2年
機械学習効果を高める準備

 このAIを活用した次世代ビル管理システムは、第1号として、竹中工務店の東京本店(江東区)に導入され、実証実験が始まっている。

「まずはエネルギーの負荷予測にAIを活用しています。データ解析を始めて2年が経過しましたが、本格的なサービス提供に向けて、もう数年、データを蓄積する必要があります。ただし、現時点でもいくつか面白い傾向が見えてきました。たとえば、外気温の変化とビル全体の消費電力の関係。外気温が上がるとエアコン稼働が増え、消費電力も増えると思っていましたが、意外にも、それらの間には、思ったほどの相関関係がないことがわかりました」(政井竜太・情報エンジニアリング本部副部長)

 AIといっても最初は万能ではない。マイクロソフトが提供する機械学習システムにはいくつかのメニューがあり、どの頭脳と組み合わせれば最適なデータ解析を行うことができるか、現在、トライ・アンド・エラーを繰り返しながら実験を進めている。その最適な組み合わせと、一定のデータ蓄積が整った時、機械学習の効果が発揮され、自動制御が可能となる。そのため、本格的なサービス開始にはもう数年かかる見通しだ。だが、今年6月に東京本店で開催した見学会には25社もの企業が参加し、関心は高いという。

「エネルギーの見える化」による
脱炭素モデルタウン

 AI導入でさらなる進化への挑戦を始めた同社の「ビルコミ」だが、消費電力のモニタリング、つまり「エネルギーの見える化」においては、すでに先進的な実例も生み出している。それが「竹中・脱炭素モデルタウン」だ。

 これは、VPP(Virtual Power Plant)と呼ばれる「都市型仮想発電所」構想の実現に向けた取り組み。VPPとは、省エネ、創エネ、蓄エネを含めた、地域全体のエネルギーの使用状況を管理し、場合によってはビル同士が電力を融通し合うこともできるという、一定エリア内のエネルギーネットワークのこと。

「ただし、そのためには、個々の〝エネルギーの見える化〟が不可欠です。当社の『ビルコミ』は、それを『エナジー・ダッシュボード』というモニターでリアルタイムに表示することができます」(児玉氏)

 現在、「竹中工務店東京本店」、近隣にある「東陽町インテス」「TAK新砂ビル」の3つのビルにシステムを導入。「竹中・脱炭素モデルタウン」の取り組みとして、3棟を合わせたエネルギーの負荷予測、使用実績をモニタリングしている。

図表 エネルギーの見える化「ENERGY DASHBOARD」 3つのビルをつないだエネルギーネットワーク。エリア全体のエネルギー使用状況を管理し、ビル同士が電力を融通し合うことも可能。左下は竹中工務店東京本店

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