誰でも世界を変えられる時代「グローバル・ソリューション・プログラム」での講義

誰でも世界を変えられる時代
「グローバル・ソリューション・プログラム」での講義

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 第2のポイントは、3つのD、すなわち「非物質化」(dematerialize)、「非収益化」(demonetize)、そして「民主化」(democra­tize)です。

 家電小売りのラジオシャックは2015年に破綻しましたが、その理由は何でしょうか。経営が下手だったからでしょうか。核心は、彼らの売っていたもののほとんどがいまや無料で入手できるものばかりだったことです。要するに、ソフトウェアに非物質化されてしまったのです。その結果、ラジオシャックだけでなく、家電メーカーも非収益化に追い込まれました。また、ソフトウェアの複製も配信もほぼコストゼロですから、だれもが利用できます。すなわち民主化です。

 ウーバーは、タクシーを非物質化し、タクシー会社を非収益化しました。車を自分で所有・維持するよりも、ウーバーを利用したほうが5倍も安いのですから。その結果、タクシーサービスは民主化されました。

 半世紀くらい前までは、社会に変革を起こすなど、普通の人にはとてもできない芸当でした。しかし、いまは違います。ですから、ここにいる皆さん全員が、「社会を変えられる」という信念を持ってほしいと思います。国境を超えた変革は、政府には無理ですが、皆さんには可能なのです。

 そのための資金はあり余っています。ベンチャーキャピタル(VC)は星の数ほどありますし、中には150億ドル規模のVCすらあります。専門家も山のようにいます。また、クラウドソーシングを使うという手もあるでしょう。

 最後のポイントは、先ほど申し上げた「予想できない結果」です。これは、エクスポネンシャル技術の民主化による副産物でもあります。

 2010年のインターネット利用者は18億人、現在は29億人、2020年には最低でも50億人になると推定されています。想像してみてください、20億人以上もの新しい消費者がオンライン上に登場する未来を。

 フェイスブックは、フランスのユーテルサット・コミュニケーションズの力を借りて、サブサハラ(サハラ砂漠以南)のインターネット環境を整えるために人工衛星を打ち上げる予定です(注)。また近々、太陽光で飛行するネット中継用ドローン「アキラ」をテスト飛行すると聞いています。

注)2016年9月1日、イーロン・マスクが所有するロケット会社スペースXの「ファルコン9」が爆発し、このロケットで打ち上げられるはずのフェイスブックのネット通信用人工衛星「AMOS-6」が巻き添えを食らった。

 グーグルは2013年、気球を使ったインターネット接続「プロジェクト・ルーン」を発表し、すでに実行に移しています。翌年には、大気圏ドローンを開発するタイタン・エアロスペース、人工衛星を製造し打ち上げるスカイボックス・イメージング(現テラ・ベラ)を買収しました。

 昨年、イーロン・マスクのスペースXは、4000基規模の衛星コンステレーション(複数から成る人工衛星システム)の打ち上げを発表しました。バージン・グループのリチャード・ブランソンとクアルコムのポール・ジェイコブは、ワンウェブの衛星コンステレーションに出資しました。こちらは数年以内に打ち上げられるでしょう。

 これらはすべて、この惑星すべての人たちにメガビット/秒のインターネット接続を提供するためです。いずれにしても、向こう5年間で、50億もの人たちのコネクションとコラボレーションが実現します。

 世界の中には、起業家にならなければ生きていけない国があります。たいていは新興国です。そこに住む人たちは、日々イノベーティブでなければなりません。そんな人たちがオンライン上に参加してくるのです。間違いなくアフリカからすごい会社が登場することでしょう。また、聞いたことのないアジアの地域でもユニークな起業家が現れてくるでしょう。

 大きな社会問題は、言わば「鉱脈」です。それを解決すれば、ビッグビジネスになる。言うまでもありませんが、世界的な社会問題には、さまざまなビジネスチャンスが眠っています。

 億単位の人々によって、億単位の人々が救われる――。これは間違いありません。近い将来、オンラインショッピングをしたこともなければ、データをアップロードしたこともない20億人が登場し、出会うのですから。

 この世の中には、素晴らしい頭脳の持ち主たちがたくさんいます。今後、世界のあちこちから登場してくるでしょう。いままではつながっていませんでした。ですが、これからは違います。コラボレーションが始まります。

 次に、IoT(モノのインターネット)、いやむしろIoE(Internet of Everything)と言うべきでしょう。すべてがインターネット化されます。2020年には、500億もの機器がインターネットと接続するといわれています。しかも、これらの機器には、20~30ものセンサーがついている、と。1兆以上のセンサーによって、この惑星は網羅されるのです。それだけではありません。衛星やドローンが写真や動画を常時撮影しています。

 私たちはまさしく、何でも知ることができる時代、そして誰でも変革の旗手になれる時代に生きているのです。

 


●構成・まとめ|岩崎卓也(ダイヤモンドクォータリー編集部) ●イラスト|モトムラタツヒコ


 

*シンギュラリティ大学CEOロブ・ネイルの記事はこちらです。

 

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