“プレイステーションの父”が語るイノベーションの核心デジタル時代の愉快な未来のつくり方〈3〉

“プレイステーションの父”が語るイノベーションの核心
デジタル時代の愉快な未来のつくり方〈3〉

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*第1回はこちら/第2回はこちら

「ポストスマホの世界」は
どうなっていくのか

 巷では「ポケモンGO」が大ブレークしました。あれは「ネットが現実の世界に“溶け込んで”きた」といえますね。

 僕もこのゲームにハマっている一人ですが、これからは、「サイバーワールドとリアルワールドの融合」領域がホットになるでしょうね。これは以前から言い続けてきたつもりですが、「ポケモンGO」の登場やIoTのバズワード化で、少しは実感してもらえるようになりました。

 現在はスマホ全盛期ですが、久夛良木さんは数年前から「スマホの時代は終わる」と断言されています。なぜですか。「ポストスマホの世界」をどうとらえればいいでしょうか。

 iPhoneの誕生以前は誰も、手のひらの上でコンピュータのガラス面を指でなぞることなんてやっていませんでしたよね。iモードを搭載した携帯電話はネットにつながっていても、完全な意味でのコンピュータにはまだまだなり切れていなかった。

 でも、2007年に登場したiPhoneは、フルスペックのコンピュータに電話機能を融合させ、マルチコア化した強力なエンジン群や多彩なセンサー群を、みごとなユーザーインターフェースと洗練された工業デザインで包み込み、そこに豊富なアプリ群を供給することで画期的なイノベーションを世界中の人々にもたらしたわけです。

 しかし、今後急速に起こる流れは、スマートフォンのみならず、さまざまなセンサー群やコンピュータリソースが限りなくクラウドと融合し、ネットワーク側に集約するという、大きなうねりです。

 そこで起こるのは、ネットワーク側にさまざまな人工知能群が誕生し、リアルワールドの事象を広範かつ継続的に観察・学習し、それぞれのユーザーのコンテクストに則した多様なサービスを、絶妙のタイミングで提供する「賢いエージェントの時代」が到来するのではないでしょうか。ウーバー(配車サービス)やエアービーアンドビー(宿泊仲介サービス)の流れは、その端緒となるのかもしれません。

 そうしたうねりの中で、手のひらの上でコンピュータのガラス面を指でなぞるだけが、これからも主流であり続けるかどうか疑問です。さまざまなセンサー群があまねく世の中に撒き散らされて、リアルとクラウドが融合していく中で、特定のデバイスにバインドされた世界が次の未来を担うとは思えません。おそらく未来の人々は、何の物理的なネットワーク端末も手に持つ必要がなくなるのではないでしょうか。

 するとクラウドも、いろんな形に進化するということですか。

 そうです。「クラウド」は絶妙のネーミングですけど、それがどこにあるかなんて誰も気にせずに、みんなふだん使っていますよね。これからは、さらに高性能のクラウド群が投入されていくでしょう。現時点では汎用のクラウドシステムで十分であっても、さらに高度に進化したAIをサポートするクラウド群も誕生すると見ています。

 すでに、金融の高速トレーディングが稼働しているクラウドは、高度に進化したAIともいえるでしょうし、医療分野でも、IBMのワトソン(膨大なデータを解析・学習する意思決定支援システム)が高度な医療補助情報提供サービスを稼働させています。

 未来のゲームに至っては、何万人ものユーザーが同じリアルタイムサーバーに入って、多数のプレーヤーからの操作に応じ、瞬時のインタラクションが求められる。

 ですから未来のAIの採りうる姿としては、「◯◯専門のAI」というものが多数生まれ、それぞれに最適に進化するようになると考えています。

DIAMOND Quarterly 第2号

2016年12月10日発売 定価840円(税込)

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