VUCA時代の監査論❶

[対談]経営者はいかに監査を活用すべきか

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デジタルだけが
イノベーションを牽引する
わけではない

金井:実際、監査の過程で不正や業務プロセス上の誤謬をいち早く発見し、企業価値の毀損を未然に防ぐケースは少なくありません。
 たとえば、ある日本企業の海外子会社で不正会計が明るみに出たのは、監査法人の交代がきっかけでした。海外子会社の監査については現地の監査法人と連携して業務を進めていくのが普通ですが、このケースでは親会社の新任監査人、つまり我々のスタッフが直接、子会社を訪問することにしたのです。
 その結果、倉庫に不自然に積み上げられた大量の在庫を発見し、これを調べていく過程で不正の発見に結び付きました。実際に足を運び、新任監査人のフレッシュアイで現場を見ることで、会議室にいては見えない真実を浮かび上がらせることができたのです。
川本:監査の世界でもテクノロジーの活用が進んでいますが、データを見るだけではなく、現場を見て、直接話を聞いて、初めてわかることも少なくないですよね。
金井:まったく同感です。データを活用した先進的な監査アプローチは避けて通れない道です。一方で、現場を自分の目で見る、いろいろな人に会って話を聞くといった愚直な取り組みの価値は今後も変わらないはずです。
この2つが両輪となって力強く回ることで、本当の意味での監査のイノベーションが進んでいくと思っています。
川本:デジタルテクノロジーに目が向きがちですが、アナログの領域でもイノベーションは起こせます。
たとえば監査役監査、会計人監査、内部監査の三様監査はそれぞれ別の役割を担っていますが、その違いを踏まえたうえで、いま以上に相互連携を図ることにより、不正や誤謬をいち早く発見することも可能になるのではないでしょうか。

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