連載:リスクマネジメント力強化のカギとは【第2回】

不確実性を引き下げ
オポチュニティに変える〈2〉

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公開情報を収集、分析し
インテリジェンスとして提供

 管理会計にリスクマネジメントを連動させ、経営管理を強化するには、自社グループの内部にあるデータだけでなく、外部データの活用も重要なカギを握る。
 PwCコンサルティングは2018年4月、「グローバル・インテリジェンス・オペレーションズ・センター」(GIOC)を東京に開設した。GIOCは2016年にアメリカに開設したインテリジェンス・プラットフォームで、マスメディア、ソーシャルメディア、個別調査、公的記録、リスク、コンプライアンス関連の公開情報を収集し、専門的知見から調査・分析を行い、インテリジェンスとしてクライアントに提供しようというものだ。
 たとえば、ある企業が中期経営計画を立てる時に、GIOCはその前提となるマーケット情報や規制の動向などをモニタリングする。前提条件が大きく崩れるようなことがあれば、それはビジネス目標の達成にとってリスクとなるため、事前の策を打つ必要がある。GIOCのサービスは、外部データを活用した予兆管理を実現すると考えている。
 また、GIOCはサイバーセキュリティやフィジカルセキュリティの対応にも活用することができる。たとえばハリケーンや洪水のような大規模自然災害が発生した時、ソーシャルメディア上のつぶやきなどを分析すれば、自社の生産拠点への接近状況を逐次把握でき、被害を受ける前に避難することも可能だ。
 GIOCの機能を、自社グループ内に設置しようと試みる企業も存在するが、グローバルな事業展開を加速させていく中で、すべての国・地域について、自前で必要なリスク情報や重要データを多言語でタイムリーに入手し、分析・評価を行ったうえで意思決定のインプットとするのは容易なことではない。そもそも情報ソースは自社グループの内部だけでなく、外部も含め複数持っていたほうが有力な判断材料となりうる。
 社内のITシステムに膨大なコストを費やしてきたが、リスクマネジメントにおいて、CEOが本当に必要とするデータが得られていないとすれば、それは経営管理を強化する余地が残されているということだ。使いこなすことができていない内部データと外部データを、リスクマネジメントやバリューチェーンの観点から整理し、活用することで、顕在化したリスクに対応するだけでなく、潜在的なリスクの予兆管理にもつなげていきたいところだ。

KAZUYA MIYAMURA
専門は、グローバル・リスクマネジメント・ソリューション分野。近年は、ビジネス・レジリエンス・プラクティスをリードし、リスクアドバイザリーやレジリエンス強化支援サービスを幅広い業種で提供している。また、国連などとともに進めるレジリエンス関連の日本での活動をリードする。
ATSUSHI SAITO
専門は、統合リスク管理(リスクアセット計測)、収益変動リスク管理、事業投資評価・管理、リスク・リターン管理、内部統制などのリスクと一体化した経営管理関連サービス。総合商社、メガバンク、製造業、電力・ガス、食品・消費財などで多数のプロジェクト経験を有する。

【SECTION3】危機発生時のダメージを最小化する3つのアクションはこちらです

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