【ソラコム】IoTスタートアップが一直線に目指す

「日本発」のグローバル・プラットフォーマー〈2〉

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イノベーションを続ける限り
「創業」は続いていく

 実は、デジタルの現場も極めて労働集約的ですが、ソラコムの場合、「ブラックな会社にするつもりはない」という玉川さんの信念から、創業当初からメンバーの労働環境や健康管理にとても気を使っていると仄聞しています。
 みんなを満員電車には乗せたくないので、フルフレックスで、テレワークもOKです。
 これは余談ですが、どうしても運動不足になりがちなので、起業した後にトライアスロンを始めたのですが、「自分もやってみたい」と手を挙げる人が増えて、いまでは社内唯一のクラブ活動になっています。
 エンジニアの仕事は、たしかに労働集約的な部分もありますが、実際は違います。けっして珍しくない話ですが、たとえば、新しいシステムを開発している最中に、これまで遭遇したことのない難問が立ちふさがったとしましょう。時間をかければ解けるわけでも、100人集めれば何とかなるわけでもない。つまり、知識集約的でクリエイティブなアプローチが求められる。ペイパル創業者のピーター・ティール氏の言う「ゼロ・トゥ・ワン」(無から有を生み出す)の仕事なのです。
 日本では、ツルハシとスコップでひたすら穴を掘るみたいな定型的なシステム開発が多かったせいで、労働集約的というイメージが定着しているのかもしれません。しかし本来は、イノベーションがたえず要求される世界なのです。
 ソラコムでは、競争力のあるグローバルなプラットフォームに取り組んでいますから、15年以上の経験の持ち主で、サーバーにもアプリケーションにも精通している、いわゆる「フルスタック」と呼ばれる稀少な人材を集めてきました。ですから、労働環境には十分すぎるほど配慮し、彼らを大切にしなければいけません。

 エンジニアを「開発」担当者と「運用」担当者に分けていないそうですね。こうしたことも、みんなで知恵を出し合うための仕組みの一つなのでしょうか。
 開発と運用を分けるという考え方は、ソフトウェアをCDに焼いて売っていた時代のものです。つまり、プログラミングは開発担当者の仕事、それ以降のプロセスは運用担当者の仕事、というわけです。
 一方、私たちがやっているのは、むしろサービス開発であり、ソリューション開発です。私たちの開発したソフトウェアはクラウド上で動いており、お客様がそれに接するのもウェブ上です。そのウェブ上で動いている「SORACOM」の仕組みは、日々進化しています。今日がバージョン1だとしたら、次の日にはもうバージョン1・98くらいに進んでいて、色もきれいになったり、ボタンが1個増えていたりします。
 このように、あたかも生物のように進化していくシステムの場合、開発と運用を分けていたらうまくいきません。
また、開発と運用を分けてしまうと、つくった時にきちんと解決しておかなかった問題が、後々重荷になることがあります。これは「技術的負債」と呼ばれるもので、その結果、問い合わせも殺到するし、障害も起きてしまいます。
 私たちのように開発も運用も同じ人間がやっていると、何か問題が起こった時、そのツケは必ず自分に返ってくることになります。だからこそ、最初からきちんとつくっておこうという意識が高まる。これはサービスの質に大きく影響します。

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