【ソラコム】IoTスタートアップが一直線に目指す

「日本発」のグローバル・プラットフォーマー〈1〉

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「民主的」なビジネスモデルには
大きな広がりと可能性がある

 IoTのプラットフォームというアイデアが創発し、起業へと結実するには、さまざまな経験や気づきがあったと思いますが、いま振り返ってみていかがですか。
 2006年から2008年までの2年間でしたが、シリコンバレーのベンチャーキャピタルでのインターンシップが大きかったです。当時は20代後半でした。
 ご存じの通り、シリコンバレーではさまざまなスタートアップが誕生し、次々にユニコーン(時価総額1000億円以上のスタートアップ)が輩出されていますが、2006年はビッグイヤーだったといわれています。それは、AWSが開始されたからです。とりわけ起業家たちにとって、大きな転換点になりました。
 たとえば、日本でも話題になっているUber(ウーバー)やAirbnb(エアビーアンドビー)、インスタグラム、ネットフリックスなどもそうですが、2006年以前では、個人のレベルでこうしたインターネットサービスを立ち上げるには、かなりのハードルをクリアしなければなりませんでした。まず、サーバーを準備し、システムを構築するには、少なくとも約6000万円の資金が必要といわれています。その調達のためにビジネスプランを用意し、あちこち奔走し、運よく金主が見つかって、初めてスタートラインに立つことができます。
 しかし、AWSの登場によって一変しました。このサーバーの時間貸しサービスを利用すれば、インフラシステム構築の手間がかからず、小さく始めれば初期費用もほとんどかかりません。まさしく「コンピューティングのデモクラシー」です。起業家にとって必要なリソースを、誰でもオープンかつフェアに使えるようになったのです。
 また、裏を返せば、投資家にとっては1社当たりの投資額が少なくなり、その結果、より多くのスタートアップと付き合うことができるわけです。こうして、スタートップの数が一気に増え、イノベーションが生まれることになりました。
 その様子を目の当たりにして、AWSという民主的なプラットフォームに魅了されると同時に、このビジネスに身を投じてみたいと強く思うようになりました。それは、まるで「イノベーターに翼を与える」ように見えたのです。

 なるほど、それでAWSのエバンジェリストになったわけですね。
 それはもう少し後の話です。私はいったん日本アイ・ビー・エムに戻り、新しいソフトウェア開発の手法を広める仕事をすることになりました。しかし、いっこうに広まらない。アメリカでは、次なる価値創造の源泉はソフトウェアであると、アップルやアマゾン、フェイスブック、グーグル、そしてIBMでもソフトウェア事業に軸足を移しているのに、日本ではさっぱりなのです。以前から、日本はIT分野では20年遅れていると感じていましたが、あらためてそれを痛感しました。

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