【ソラコム】IoTスタートアップが一直線に目指す

「日本発」のグローバル・プラットフォーマー〈1〉

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 のちほど詳しく伺いますが、ソラコムを立ち上げる前は、アマゾンのクラウドプラットフォームである「アマゾン ウェブ サービス」(AWS)を担当されていました。フリー、フェア、フラット、そしてグローバルなのがインターネットの真骨頂であり、AWSはまさしくインターネットの世界にふさわしい民主的なサービスですが、ソラコムのビジネスモデルには同じような思想が垣間見られます。
 おっしゃるように、個人であろうと大企業であろうと、オープンに等しくサービスを提供するという点で、AWSのことが心底気に入っていました。ソラコムのビジョンは「世界中のヒトとモノをつなげ、共鳴する社会へ」というものですが、ここにはAWSと同様、「IoTのデモクラシー」という考え方が込められています。
 ですから私たちのサービスは、資金力に乏しい個人でもIoTを利用できる価格体系になっています。たとえば、一番基本的なサービスである「SORACOM Air forセルラー」では、初期費用として契約事務手数料を、1回線当たり、つまりSIMカード1枚当たり954円――これに税金とカードの送料が加わります――を、そして基本使用料を1日10円と、データ通信量は使った分だけ従量課金でいただいています。

 ソラコムのビジネスモデルの特徴について、もう少し詳しく教えてください。
 大きく3つあります。1つ目が先ほど申し上げた「モノ向けの通信に特化」していることですが、2つ目が「セルフサービス型モデル」であること、そして3つ目が「基盤型プラットフォームビジネス」であることです。
 私たちは、「あらゆる製品やサービスがウェブで販売可能である」という前提を置いており、これを「セルフサービス」と呼んでいます。いまの時代、特に若い世代がそうですが、何かを買う時、店員の話を聞くのではなく、たいていネットで調べて、購入するかどうかの意思決定を下します。
 ならば、通信の仕組みもネット上で売れないはずがありません。「このSIMカードよさそうだな。1枚買ってみよう」と。まずは試してもらって、気に入ってもらえれば、また追加購入していただく。これが、セルフサービス型モデルです。
 そして、基盤型プラットフォームビジネスとは、その基盤を使った製品・サービスが提供されていくようなビジネスを指します。
 たとえば椅子をつくって売るには、まず木材や金属などの材料を買いますよね。私たちの通信プラットフォームは、同じく材料の一つです。PCになぞらえれば、インテルのチップであり、マイクロソフトのウインドウズです。ソラコムユーザーの多くは、購入したSIMカードを組み込んで製品やサービスをつくり、それをエンドユーザーに提供しています。

 プラットフォームビジネスの研究者であるMITスローンスクール・オブ・マネジメントのアンドレイ・ハジウは、プラットフォームとは「さまざまな企業や人々が、特定の技術、製品やサービス、システム、空間を共通基盤として利用することで、さまざまな価値を創出できる仕組み」であると定義していますが、ソラコムのビジネスモデルはまさにそれに当たります。しかも、「無料(フリー)経済」とか「限界費用ゼロ社会」といった社会トレンドにもマッチしていますね。

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