【帝人】赤字と黒字を繰り返した不安定経営から脱却

長期的視点で種を蒔きイノベーションを加速〈1〉

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 2017年4月から「ALWAYS EVOLVING」という中期経営計画がスタートしましたが、その狙いは何ですか。発展戦略と成長戦略を掲げておられますが、その違いについてもお聞かせください。
 長期ビジョンとして「未来の社会を支える会社」を目指しており、軽量化素材により環境性能向上に貢献する「環境価値ソリューション」、災害対策や社会インフラ整備に関わる安全性向上に貢献する「安心・安全・防災ソリューション」、少子高齢化時代の健康の維持・向上を支援する「少子高齢化・健康志向ソリューション」を重点領域として注力しています。
 こうした中で、既存事業の成長を加速し強化するのが成長戦略で、将来の柱となる新規のコアビジネスの確立やビジネスモデルの変革を目指すのが発展戦略です。10年後も伸び続ける分野に積極的に経営資源を投じ、重点的にやっていくと言っています。会社は急に変わってはいけないので、この3年間は既存の事業で稼ぎ、それを原資として、将来の柱となる新事業に先行投資をしていく。次の中期経営計画からは形が整い、先行投資したビジネスがグングン伸びていくイメージを描いています。

写真を拡大 【図表2】長期ビジョンに基づいて中期経営計画を策定

自主活動を促さないと
イノベーションは起きない

 3年間で3000億円の先行投資、これまでの3年間は1000億円ぐらいですから、投資額を3倍に増やすわけですね。
 それぐらいかけないといけないと思っています。発展戦略分野は、まだ利益に貢献していない、もしくは貢献が極めて小さい。しかし、ただ投資をして、マーケティングを行っていれば伸びていけるというほど世の中は甘くない。先行投資をせず、成長戦略にだけ投入していれば利益はそれなりに伸ばせる。でも、それでは10年後に何も楽しみがない。刈り尽くした会社になってしまいます。
 一方、「これをやりたい」という気持ちを持った社員に「いまはお金がないから、チャレンジできない」と言うのは悲しいことです。きちんとした事業計画であれば、1000万円、1億円、場合によっては10億円の投資案件であっても、「やってみたら」と言いますよ。お金は出るし、一緒にやってくれる仲間もいます。帝人の経営資源、メリットを使わない手はありません。

 社内のイノベーターよ、立ち上がれ、ということですね。
 全員がベンチャー志向というのも困りますが。帝人の社員はみんな真面目で、わりと堅い人が多い。ここ数年、投資を抑えてきましたので、これからは「抑えるところは抑えるが、いい話、期待が持てるビジネスにはどんどん行く」と言わなくてはいけませんね。
 それと、働き方に多様性があることが重要ですね。やりたいことを実現するため、個々人がいろいろなビジネスにおいて、違う志向で突き進みながらも、それでも大きなベクトルは合っているというのが望ましい姿だと考えています。

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