ビジョンを構想し、共有しなければ
イノベーションは創出できない〈2〉

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*第1回はこちら

「未来の会社案内」をつくり
ビジョンを共有する

編集部(以下青文字)未来のビジネスモデルとともにビジョンを描き出す時には、時間をかけて練り上げていくのですか。
西村:そうですね。我々はクリエイターではないので、漠然とした言葉でビジョンを考えるというよりは、先ほどの社会的価値や文化的価値、経済的価値の3つの視点から事業の実現性も含め、新しいビジネスのあり方とセットで考えています。

 

 生活者視点に重点を置き、能動的にありたい未来を描くのが我々のデザイン思考です。世間一般でデザイン思考というと、新商品のモックアップをつくってブラッシュアップを重ねていくといったイメージかもしれませんが、我々はそれを企業経営のレイヤーで実行しています。
 ビジョンにひも付く具体的なビジネスモデルや新規事業を構想する際には、実際にその事業が立ち上がり、商品・サービスを未来の生活者が利用しているシーンなどをビジュアルに細部まで落とし込んで提示することもします。それを経営陣に見せると、必ず齟齬があって、未来の絵図に触発されてディテールを考え出すようになります。さらに構想に立ち返って、修正のプロセスを繰り返すことで、徐々に一つのビジョンに収斂していきます。
栗原:私もある保険会社が新しいビジネスモデルを展開する時に、保険があることによってお客様はどういう人生を送ることができるのかを、お客様と保険員が関わるシーンをビジュアル化してイメージしやすくしたことがあります。

 

 また、ある企業では、「未来の会社案内」というものをつくりました。会社案内は、学生に向けて自分が働いている姿をイメージしてもらうためのツールなので、未来の像を描きやすいのです。「未来の会社案内」の中で、お客様からどのように語られる会社になっているのか、どんなプロダクトを世の中に出しているのかを表現できますし、働き方はどうなっているのか、社長は誰がなっているのかも表現できます。
 たとえば、グローバル企業を目指すなら、グローバル市場で競争できる会社になっていないといけない。そのためには、女性登用率が何%だとか、外国人マネジメント層が何%といった話や、ヘッドクォーターは日本ではなく海外に、といった細かな議論が可能になります。

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